摩耶山の麓から

Mt.Maya Without a Map

六甲線一四鉄塔の尾根に、山桜を見に行く

4月10日の日曜日は曇り空。天気予報では晴れだったのに。

だが、この季節は一年でもっとも摩耶山系の南面が輝く時期。

それも週替わりで、見処が変わっていくので、休む暇も無い。

今週は一三鉄塔尾根の北側の山桜と、ハチノス谷西尾根の、

ミツバツツジが見頃だろうと見当をつけてきた。護国神社から

見上げる長峰山にも、山桜が咲いているのが、見分けられる。

長峰坂を登って来ると、丸山公園上の斜面も山桜が咲いて、

パッチワークのような彩りになっている。これは期待できそう。

杣谷堰堤の迂回路で摩耶東谷を渡り、ふと振返り見上げると、

意外な方向に掬星台の電波塔が見える。もう何十度も歩いて

いる道なのに、此処から見えるなどとは、思いもよらなかった。

山寺尾根分岐の白い桜が満開だ。この桜を見ると杣谷堰堤上の

白く肉厚な花を咲かせる桜の木を思い出す。伐採され今は無い。

摩耶堰堤下の河原で小休止。気温が20度を超えると、水流

を気持ちよく思えるようになる。だが実際には、まだ冷たくて

足を濡らして、沢歩きをしたいとは思わない。さあ歩き出そう。

摩耶堰堤の高巻きでは、開花したミツバツツジが迎えてくれた。

高巻き道を乗越すと、突然眼前に現れるのが、この白い山桜。

大木でもなく、花が格別キレイなわけではないが、印象的な木。

摩耶第3堰堤を巻き上ると、小さな沢を渡る。水量は多く無い。

これが先週に迷った沢の下流。六甲線一三鉄塔と一四鉄塔の

間の沢だ。今日も後半は此の沢を辿り、椿の鞍部に登るつもり。

木ノ袋谷出合が見えた所で、右手斜面に取り付く。踏跡は薄い。

少し登れば踏跡もハッキリして来る。急峻だが割と歩き易い道。

別山東斜面や木ノ袋尾根にも、山桜や新緑が彩りを添えている。

どうやらネット上では、希少な花の名前は、書かない方がよい

らしい。この花を杣谷の左岸側で見かけるのは、初めてのこと。

時折、開花している株や、蕾を膨らませている株もあるが、この

尾根は、ハチノス谷東尾根と比べれば、3週間は開花が遅れる。

その分、長い期間あちらこちらの尾根で、楽しめるというものだ。

一面がツツジの藪なのだが、今は若葉が白く光っているだけだ。

対岸の尾根を見ると、針葉樹の松にも新緑ってあるんだと思う。

ちなみに、対岸の尾根を登って行くと、六甲線一三鉄塔に至る。

今日後半に登る谷には、知る限りは名前がない。長峰山東面の谷

としては、比較的緩やかで、昔から杣人の通行もあったように思う。

その為か谷筋に桜の木が多い。ぜひ名前を知りたいと思うのだが。

満開の株もあるのだが、ツツジは、桜のように一斉に咲くことは

なくて、条件に寄って開花時期が異なる。未だによく分からない。

最初の目的地である、六甲線一四の鉄塔下の架線場跡に到着する。

鉄塔はすぐ上だが急斜面に立っているし、展望も存外に良く無い。

大岩が転がる平坦地。此処に来たのは対岸の桜の大木を見る為。

前に生えている松の木が大きくなった為か、数年前より印象が

薄いが、摩耶山系では屈指の桜の大木。なかなか開花の時期

に来られなかったのだが、やっと満開の時に来ることが出来た。