摩耶山の麓から

Mt.Maya Without a Map

木ノ袋尾根・東面の展望岩を探す

3月12日の土曜日は、弱い冬型の気圧配置で、晴れの天気予報。

何処に行こうか迷うが、先週見かけた場所を気になる探しに行こう。

家族は滑落の傷が癒えず、左手に力が入らない。今日は一人山行。

上りケーブルカーでは、急ブレーキを掛ける事があるからと、着席

するよう言われた。何か事故があったのかも。先週は、軌道の側に

大きな猪が数匹いたので、客車前を横切ったりしたのかも知れない。

星の駅の温度計は4度だったが、掬星台の紅梅が咲き始めていた。

奥摩耶ドライブウェイを杣谷峠に向けて歩く。今日は全縦トレランの

大会があるよう。エイドステーションや標識が諸所に設けられていた。

上の写真は、先週に杣谷峠から山羊戸渡に行く途中、六甲線十五

鉄塔前から写したもの。木ノ袋尾根の東斜面に、白い岩が見えた。

この時は、方形の大きな岩に見えたし、杣谷道からも近いと思えた。

杣谷峠から下って、右手から小沢が入る所。杣谷の源流の一つで、

以前登ったことがある。此処にはもう一本小沢が流れ込む、先週に

遠望した地形とも合うので、此処から取付けばよいと思うのだが・・。

とても急斜面なので躊躇していた。杣谷道を登って来る賑やかな

イカーの声が迫ってきたので、とにかく取りついてみる。すると

何のことはない、イノシシがしっかりした獣道を作ってくれていた。

獣道を数十メートルも進めば、大きな岩場に突き当たる。上下に

続いており、険しい様相だが樹木が沢山生えているので、何とか

なりそう。この時は此の上に、遠望した岩があるかと思っていた。

とても急な斜面なので、イノシシも歩く所が限られるのだろうな。

獣道のレベルを超えた固い道。だがイノシシが岩を登るはずも

なく、やがて岩場からは離れて行く。仕方ないので岩場を登ろう。

大きな岩場なのに、木が多く展望は皆無。遠くから見てもこんな

にも、岩が多いとは思えないだろう。花崗岩だと思うが概ね固い。

岩の上に生えた木を手掛かりに登って行く。朽ちた木もあるので、

慎重になる。落ち葉の降り積もった急斜面は、柔らかく頼りない。

ところで大分登ったが、遠望したように展望のある岩は現れない。

ようやく傾斜が落ちてきた。例の岩は尾根の下方にあるようだ

ったので、登ってきた尾根筋ではないのか、そもそも上流から

取りついたので、もっと尾根の下方だっただったかも知れない。

そう思いかけた頃、南東から別の尾根が合流した。傾斜が

緩いので其方へ下ってみると、ひょっこり明るい場所に出た。

1m四方ほどの岩が、樹木の抜けた所にある。これかな?。

思ったよりも小さいので、確信はないが、岩に座ってみると

六甲線一五鉄塔が見えるし、その手前の一般道を歩く人も

見えている。先週ちょうど其処から見たのだ。ならば此処だ。

休憩するのは一人がやっと、足元は切れ落ち端には寄れない。

違う尾根を登ってきた訳だが、この下方は、杣谷まで急傾斜で

登ってくるのは相当難しそう。期待した程の場所ではなかった。

それでも目標は達成したわけで、コーヒーとチョコ菓子で祝う。

背後で物音がする。どうやら猪が土を掘り返して捕食活動して

いる。急斜面で暮らすのは大変だ。猪の過密が原因なのかも。

暖かい日差しの中で、コーヒー2杯の小休止。下ってきた緩い

岩尾根を登り元の尾根と合流して、稜線を目指す。松が多い。

北側に六甲線一六鉄塔が見えた。杣谷峠西のピークも見える。

いつも見慣れている山も、違った方向から見ることが出来れば、

それは新鮮で楽しい。それが一般道を外れて歩く理由の一つ。

尾根の斜度は緩いまま続く。大岩が積み重なり越えられない、

岩の無い所は、ウンゼンツツジが密生しているので歩き難い。

それでも稜線が近づくと、踏跡らしきも現れ、歩き易くなる。

稜線に飛び出すと、其処は木ノ袋尾根の円頂だった。見込

みでは、もう少し南側に出るはず。全く地形が読めていない。

4月にはミツバツツジが綺麗な所だが、今日は陰気な雰囲気。

杣谷からの標高差は僅かで、チョコ菓子2個分のカロリーも

消費していないだろう。もう少し歩きたい。円頂からアゴニー

坂に向かうが、途中で気が変わり、木ノ袋谷に下る道に入る。

踏跡は南側の下流に向かって行くが、道を外れて西側に向う。

オテル・ド・マヤの北側の岩場に登れないかと思っていたが、

適当な尾根は無いようだ。このままアゴニー坂に逃げようか。

岩場の裾を下って行く。堰堤があるが左岸は急で降りられない。

大きく回り込んでから谷底に降りて、治山堰堤の右岸に達した。

木ノ袋谷は堰堤が多いだけでなく、別山の日陰になり暗く険悪

な谷というイメージが強く、未だ通して遡行した事は一度もない。

堰堤脇の低い尾根に登ると、六甲アイランドが見えた。手前は、

ネコヤナギの木。花穂が膨らんでいる。それなりに春を感じる。

堰堤の右岸からは踏跡がアゴニー坂に向かっている。木ノ袋谷

を遡行した人が通るのだろうか。アゴニー坂はいつになく人通り

が多く藪から出にくい。そうか今日はトレランの大会があるんだ。

トレランの大会だけではない、神戸ウォーキング協会の100名

近い団体も通過した。しばらく、六甲山牧場を眺めてやりすごす。

今日は空気が澄んで、遠くまで良く見える。絵に画いたような雲。