摩耶山の麓から

Mt.Maya Without a Map

華岳山(1446m)・・・・・・京畿道・加平郡・・・2015年10月31日

加平のバスターミナルから、華岳里行き6時35分発のバスに乗る。

此のバスは加平駅を、経由してやって来る。時刻表に華岳里行きと

あるから大丈夫と思いきや。バスには、路線番号しか書いていない。

運転手に「華岳山に行きますか?」と聞いた上で乗車。これが重要。

華岳里は川沿いの細長い地域だった。ずっと、それらしい所が続く。

運転手が下してくれたのは終点では無かった。華岳山の小さな看板。

終点の華岳里バス停はまだ先のようだ。川を渡り、西側の山に向う

林道がある。道標は無いが、たぶんこの道を進めば、登山口だろう。

豪奢な別荘を横目に進んで行く。ガイド本では、50分の林道歩きだ。

加平の気温はマイナス2度だった。標高が上がった分、更に寒くなった

よう。林道を歩いて行くが、中々道標が現れず、段々不安になってくる。

30分歩いて最初の道標が現れた。ホッとするとともに、違う不安に

襲われる。道標は、無地の板にシールを、貼りつけてあるのだけど、

劣化して剥がれかけている。登山の盛んな韓国では、珍しいことだ。

林道の途中では、造成工事が行われていた。別荘地にするのかも。

日が昇って、大分暖かくなってきた。家族がジャケットを脱いでいる。

林道は上るのを止めて、西側へ大きくトラバースする。大丈夫かな。

1時間歩いて登山口らしき場所についた。手書きの看板が心細い。

登山口に公設の道標がないのは、なぜだろうか。まあ通行止めの

看板がないだけまし。韓国では乾燥する季節に、入山禁止が多い。

道は松林を抜けて、川沿いに進む。極めて単調な道が延々続く。

この山でも草の袂に、薄い氷の幕が張っている。昨日の明智

では、風当たりの強い所にあったので、湿気を含んだ風が凍る

のかと思ったが、此処は谷間で、風が強いようには思われない。

この谷間では、地表からかなり上の茎まで、氷が発達している。

地中の水分が上昇しただけでは無さそうだ。他に見るべき物も

無い谷間だったので、ずーっと草の根元を見ながら歩いていた。

林道から入山し、約一時間半。ようやく道は谷を離れて斜面を

上がる。谷中では日が当たらず寒かったので、陽射しが嬉しい。

ところが此の道、急斜面なうえ足元が怪しい。かなり消耗する。

この上では、歩道整備の工事が行われるよう。道端にロープの

支柱や、工事の人達の昼食らしい、辛ラーメン等が置いてある。

上からステンレス製の支柱を、3本担いだアジョシが降りてきた。

道は急斜面から尾根に移るが、昨日の疲れのせいか体が重い。

ヘロヘロになってきた。先ほどのアジョシに、軽く追い抜かれる。

途中工事の人が数名いらして、「もうすぐだよ」って、言って貰う。

でも長かった。バス停からだと3時間20分も掛っている。やっと

山頂にある軍事施設への車道に出る。後半の急登がキツかった。

車道には、工事の車が止まっていた。大きな背負子が置いてある。

この山は標高の割に人気が無い。軍事施設があり本当の山頂に、

登れないからだ。山上に見えるのがそれだろう。広範囲にあるよう。

登れるのは中峰1446m。本峰は1468mある。車道はさらに

登って行くが、中峰(チュンポン)に向かうよう道標に誘導される。

此処が車の回転地になっていて、南側が大きく開け展望が良い。

後から思えば、此処で昼食休憩した方が、よほど気持ち良かった。

回転地の脇から、細くい道がついている。岩が多くて歩き難い。

しばらくは、平行に回り込むが、やがて岩場の急登に変わる。

ステンレス支柱に、新しいクレモナロープが張ってある。先程

の人達は、この工事をしていたんだ。思ったより、頂上は遠い。

警告文。それしか分からないが、とにかく大人しくしておこう。

ようやく山頂についた。バス停から4時間弱かかった。疲れたな。

展望台に山名碑が据えてある。東側には、軍の通信施設が迫る。

監視所があり、自動小銃を構えた兵士が二人。「此方側の写真を

撮らないで下さい」(たぶん)と言われる。我々の一挙一動を、注視

されているので居心地が悪い。2・3枚写真だけ撮って、退散しよう。

中峯山頂から西側の展望。昨日登った明智山が、見えるはずだが

同定できない。展望台の下に草地があるので、昼食休憩にしよう。

コンビニで買ってきたキムパブと三角キムパブ。西側の登山道から、

二組のハイカーが来られて、展望台に上られたが、やはり居心地が

悪いらしく、直ぐに降りて来られた。もっとも、監視する兵士も大変だ。

軍事施設が見えないように、もう少し下に展望台を作った方が良い。

とか思いながら、西側へ向かう登山道を下って行く。雪が残っている。

加平郡の作った新しい道標があった。でも頂上まで50m。分岐でも

ない場所に道標が要るのかな。同じタイプの道標は、此の先、幾つか

あったが、どうも必要も無い所に設置してあった。韓国あるあるかな?。

西に向かう道は最初の内、北斜面を辿る。一昨日降った雪が残っている。

さらに下ると、南側の斜面を辿るようになり、降り積もった落葉の道。

分岐が幾つかあるが、そこの道標は、シールが劣化し剥がれている。

どうして、此の道標を撤去して、新しい道標を設置しなかったのだろう。

分岐の度に南側で、一番良く歩かれている道を選んで、下って行く。

もう少し早く来れば、紅葉もキレイだったろうが、冬枯れの林が続く。

谷へ下ると、木々に白い花のような物が見える。よく見るとタンポポ

の様な種子の穂だった。実際の色は灰色だが、光を通して輝いてる。

2度ばかり沢を渡ると、緩やかな林道に出た。帰りのバスが気になる。

舗装路に出てきた。新しい道標にバス停留所450mと記されている。

大きく新しい家が多く、豊かそうな集落を抜けて、国道75号線に出る。

クァンチョンマウルのバス停に到着。珍しく時刻表がある。もちろん、

このバス停の通過時刻ではなく、始発の時間だが、それでも十分だ。

更にモニターがあって、次のバスが何分後に到着するか表示される。

20分ほど待つと加平行きのバスがやってきた。一番ホッとする瞬間。