摩耶山の麓から

Mt.Maya Without a Map

紺岳山(675m)・・・・・・・京畿道・坡州市・・・2015年11月2日

韓国の山も、市内バスを利用して登るとなると、難易度が増す。

ガイド本では、佳陵駅からバス利用とあったが、我々の乗った

地下鉄は、議政府を出ると楊州まで止まらないとのアナウンス。

佳陵駅は行きすぎてしまったが、方向から考えると、楊州駅前の

バス停でも乗れるはず。はたして楊州駅前バス停には何十路線

ものバスが通過する。乗車する25番のバスも満員でやって来た。

途中、幾つかの大学・高校。それに工業団地を通過して、登山口

の梵輪寺入口で下車する。バスでは約一時間立ちっぱなしだった。

坡州市作成の案内図。なので楊州市側の登山道の記述は全く無い。

我々は、オレンジ色の道を登り、ピンク色の尾根道を下山するつもり。

バス停付近には何もなかったが、梵輪寺への車道を登って行くと、

トイレがあるし、登山者相手の食堂も一軒ある。車道は割と急坂。

帰りには此の同じ場所で、トラックが荷崩れを起こしていたぐらい。

梵輪寺は小さいが裕福そうな寺。寺内のベンチで朝食を食べさせて

もらう。その朝食は、非常食代わりに持ち歩いていたランチョンミート。

梵輪寺の脇から登山道は始まる。雨が降る心配は無い位の曇り空。

標高が低いだけあって、紅葉も多少は残っている。気温もやや高い。

出会いの森と名付けられた三叉路。此処を起点に左右の尾根を経て、

山頂を周回するよう登山道が付けっれている。左の道を行けば山頂。

右の道を行けば遠回りだが、途中幾つか名前の付いたピークを経由

する。こういう場合、遠回りする方が見所が多いのが、韓国の山の常。

淡々と尾根道を登っていく。韓国でも北辺の地。軍の施設が多い。

訓練だろうが、迫撃砲や機銃の乾いた音が、間近に聞こえてくる。

前方にはトーチカも現れた。かなり古いものだが、今も現役かな。

大きな岩場の下にベンチがあった。日本から持って来た甘納豆を

食べて小休止。頂上までは残り700m。先を急ぐこともないだろう。

その岩場を階段道で、南側に回り込むと、大きな展望が広がった。

右手奥は北漢山国立公園の北端辺り。中央の低いが険しい山

は、楊州市の佛國山だろうか。韓国らしい実に穏やかな風景だ。

更に進んで振り返ると、先ほどまでいた岩場に数人のアジョシ達。

今日は月曜日だが、ソウルから近いだけあって、ハイカーも多い。

こちらは楊州市が作った案内図。南斜面の道だけが記されている。

北側の坡州市域の道は、一切無視している。上り下り別の道を歩

いた方が、山自体の魅力が増して、登山者も増えると思うのだが。

緩やかな岩稜がつづく。途中に将軍峰という標識があったけど、

顕著なピークではない。下から見れば、立派なのかも知れない。

岩稜のピークに立ち、歩いてきた方向を振り返る。標高が低い

ので、さして期待していなかったが、そこはやっぱり韓国の山。

岩稜のピークに、山名碑があるが、本当の山頂ではないようだ。

イムコッチャン峰という韓国の山にしては長い名。調べてみると、

林 巨正という歴史上の人物の名を、このピークに冠したようだ。

義賊として、小説やドラマになっている人物で、その最後の地が

イムコッチャン峰直下にあった洞窟という、言い伝えがあるようだ。

紺岳山本峰直下から、イムコッチャン峰を望む。この写真を撮って

いる後ろには、アジョシ5・6人が、写真撮影の順番待ちをしている。

さて肝心の紺岳山の頂上に到着したが、そこにはヘリポートと、軍の

通信施設があった。やはり監視所があって、機銃で武装した兵士が

イカー達を注視している。先ほどまで、沢山記念写真を撮っていた

人達も、此の山頂では写真を撮ろうとはしない。特に撮影禁止という

看板も無いかと思い、山名碑の写真は撮ったが、韓国の人はそれも

しない。ベンチで行動食を食べるが、どうも居心地が悪い。下山しよう。

少し下ると、展望台を兼ねた東屋がある。山頂に軍の施設があって、

休憩するには窮屈なので、その分周辺に見所を作ろうということかも。

東屋からは、展望の良い階段道を下る。相変わらず機銃の音が響く。

山頂からの尾根道は、一直線に下って行き、やや単調な感がある。

標高が下がると、まだ黄葉が残っていた。まだ11月の初旬だが、

日本に比べると、ひと月は季節の進み具合が早い様に思われる。

さらに下ると峠状の地点に道標があった。このまま進めばバス道

沿いの休憩所。そこにもバス停はあると思うのだが、確証はない。

左下のバス乗換場へ1.4kmという標識だけが、なぜだか新しい。

そのまま尾根道を進んで、降りた所にバス停がなければ、また困る。

大人しく看板に従って、下ることにした。峠からは5分もかからずに、

今朝通った出合いの森という三叉路に出た。モミジの紅葉がキレイ。

梵輪寺を経由してバス停に戻ってきた。もちろん時刻表はないが、

今朝乗って来た25番バスは、15分間隔であるという。本当かな。

はたして5分も待たずに、バスはやって来た。また1時間程乗車し

朝と同じく楊州駅で、地下鉄1号線に乗り換え、ソウル市内へ戻る。