摩耶山の麓から

Mt.Maya Without a Map

富良野岳(1912m)・・・・・・2015年9月21日

午前4時過ぎ、テントの外を見ると、薄暗くも快晴だと分かった。

昨夜に炊いておいた御飯を、お茶漬けにして、朝食を済ませる。

午前5時ちょうどに、十勝岳温泉に向け出発する。富良野岳の

登山口までは、約4kmの車道歩きを、こなさなければならない。

白銀荘から約2kmの間は、緩やかな上り下り。正面に富良野岳。

雲一つない空に、気分が高揚する。きっと素晴らしい一日になる。

40分かかって、上富良野市街からの道道291号線に合流する。

此処から苦しい登りが始まる。今の日本では誰も乗せてくれない

よねって、話しながら歩いていると、5台目の車が止まってくれた。

「乗りませんか?」と声を掛けて頂いたのは、旭川から来られた

女性二人。急傾斜の車道を上って、十勝岳温泉駐車場に到着。

あのまま歩いていたら、後1時間は掛っていたと思う。感謝です。

午前6時、駐車場脇の登山口を出発。富良野岳まで約5km。

既に体が暖まっているので、すんなり歩き出すことが出来た。

十勝岳温泉から安政火口下までは、観光客も利用する広い道。

駐車場で車中泊していた人も多いのだろう。前方には沢山の人。

登山道は、安政火口下で涸れ沢を渡り、対岸の斜面に取り付く。

凄まじい火口壁が見えているが、火山性の臭いはさほどしない。

登山者は数珠繋ぎ。前の女性のザックには、横浜ベイスターズ

ユニホーム姿の「ふなっしー」が下がってる。お話すると悪天続きで

今日が最終日、上富良野岳をピストンして、千歳空港に急がれる。

徒渉点から登山道は延々と斜上していく。こんな道の付き方は

本州の山には、少ないように思う。大きな岩が多くて歩きにくい。

十勝岳温泉・稜雲閣が見えている。あそこから登って来た。その

向こうは、朝霧の下に富良野平野が広がる。北海道らしい風景。

振り返ると安政火口と紅葉が見事な斜面。その対比が面白い。

前方に富良野岳が見えた。十勝連峰の一つだが、独立峰的な姿。

主峰の十勝岳よりも、標高こそ低いが、山容は連峰一の美しさだ。

上ホロカメットク山への分岐に到着。ここで登山者は二分した。

十勝岳へ縦走する人も多いようだ。我々は更に南へ斜上する。

分岐からしばらくで水量の多い沢がある。此処で朝食にしよう。

北海道ではエキノコックスの為か、沢水を飲む人を見かけない。

10分ほど休み、歩き始める。紅葉・黄葉の灌木が織り交ざる。

振り返ると歩いて来た道が、笹と這松の原に一筋に見える。

道は緩やかに斜上して行く。何とか休まずに歩いて行ける。

やがて道は東に曲り傾斜が増す。この辺りでは息が切れた。

登りきると主稜線の平坦地。三叉路となっており眺めが良い。

富良野岳方向には、土留の階段道が続いている。少し休む。

北側は手前から、三峰山、上富良野岳、上ホロカメットク山

十勝岳、そして一番奥に小さく見えるのが、美瑛岳だろうか。

土留の木枠道は歩き難いが、此処までと一転して高度が上る。

草モミジの絨毯。実際には密生した小さな木が紅葉している。

前方の景色より、後方の景色が良い。振り返りつつ登って行く。

午前9時前だが、富良野岳の登頂を終え下ってくる人は多い。

稜雲閣で泊まったか、車中泊して、早朝に出発した人達だろう。

山頂直下の路傍。小さな草木が、一分の隙も無い意匠を作る。

午前9時、富良野岳の頂上に到着。思っていたより早かった。

とはいえ、5割増しを覚悟していただけでコースタイムの通り。

行動食を食べ休憩しよう。何だか十勝岳辺りに雲が湧いてきた。

東には原始ガ原が広がる。此処からは分から無いが湿原だそう。

山頂に20分程いたが、その間、十勝岳方面のガスが多くなる。

出来れば1時間位は、ゆっくりしたいが、先のことを考えると

そうもいかない。時間的には、十勝岳まで縦走できるかも・・。

十勝岳から吹上温泉に下れば、車道歩きが無く良いんだが。

先ほど車に乗せて頂いた方達と行き違う。改めてお礼を言い、

少しお話すると、今日の午後から天気は荒れ模様になるので、

十勝岳は勧められないと言われる。えっそんな天気予報なの。