摩耶山の麓から

Mt.Maya Without a Map

芦別岳(1727m)・・・前編・・・・・・2015年9月23日・24日

9月23日。芦別山麓の山部・太陽の里キャンプ場にテントを張り、

不要な物をデポし、38リットルと30リットルのザックに、小屋泊り1泊

の荷物と食糧を詰め、公園北側の林道から芦別岳旧道登山口に向う。

林道入口に、エゾシカ除けのフェンスがあり、チェーンが鍵代わりに

巻きつけてある。此処から20分弱は、車も通れる林道を歩いて行く。

林道終点には、車2・3台の駐車スペースと、登山届のポストがある。

軽が一台駐車していた。登山届を記入し、車止めの脇から先に進む。

一旦、ユーフレ川の河原に下るが、すぐに通行禁止の看板と高巻き

道の入口に突き当たる。この高巻き道が曲者で、かなり上まで登る。

標高差で数十メートルも登って、ようやく高巻き道は下って行く。

昨日の雨でか、道はぬかるんで滑りやすい。道幅は狭く左手は、

ユーフレ川の河原まで、断崖である。一歩たりとも気を抜けない。

最初の高巻き道を河原に下る。此処で下って来た単独の男性

と出会う。朝6時に出発されたそうだが、どのコースを登られた

か聞くのを失念していた。新道から覚太郎コースを下られたか。

次の高巻き道の鎖場で、男性二人連れと出会う。片方の方は、

かなり疲れておられ、下りは、もう一回高巻き道があるというと、

ひどく落胆された。この後も、同じような高巻き道が2度現れる。

ようやく夫婦沢出合に至る。倒木が丸木橋のように見えるが、

石伝いに容易に渡れる。ここでは御夫婦の下山者に出会った。

途中でストックを一本折ったそうだ。そんなにきびしいのかな。

夫婦沢出合から、一登りすると旧道の分岐。明日は此処まで

戻って旧道から山頂を目指す。今日はユーフレ小屋に泊まる。

旧道コースから一気に、山頂を目指すだけの自信が無かった。

午後3時半。登山口から2時間かかって、ユーフレ小屋に到着。

芦別岳岩稜登攀、夫婦岩登攀、ユーフレ沢遡行の基地として、

利用されてきた、この小屋に泊まるのも、今回の目的の一つ。

小屋の内部は、ストーブを囲んで板の床があり、有難いことに

厚手の銀マットが敷かれていた。2階も寝れるが、最近は利用

された形跡はない。この日、他に宿泊者はなく我々だけだった。

翌朝は簡単に朝食を済ませ、5時50分お世話になった小屋

を後にする。昨夜、余り寒く無かったので天気が心配だった。

空には薄く雲がかかっているものの、まずまずの天気だろう。

旧道コースの分岐まで戻り、登りにかかる。家族は熊鈴を

鳴らすだけでは足りないようで、ホイッスルも吹いたりする。

最初の内は水の流れるゴーロ帯を、ピンクテープ頼りに進む。

はっきりした道はない。沢沿いなので毎年、雪解け水に踏跡

が、消されてしまうのだろう。やがて道は、沢から離れて行く。

旧道と夫婦岩への分岐の近くに、水場があると聞いていたので、

水をほとんど持っていないが、道は沢から離れて行くばかりで、

少々心配になってきた。背の高い草木に囲まれ単調な道が続く。

右手に槙柏山を見上げるようになって、やっと道の斜度が緩む。

この辺りからは、やや複雑な地形となり、枯れた沢を二回渡って、

右手へトラバースして行く。夫婦岩への分岐らしきもあったような。

草に隠れて見えないが、水量豊富な水場があった。心配していた

反動なのか5リットルも確保して、一気に背中のザックが重くなる。

水場からは、左手に夫婦岩を望みつつ、急坂を登るようになる。

もっとも摩耶山の黒岩尾根に比べると、まだ緩やかな登りである。

ただ道がハッキリしなくなる。砕石の小沢を登って行く所もある。

水が流れているので、靴は濡らすし、足元は定まらずと消耗する。

道と思って進んだところが、雨水の流れた後だったりと2度迷う。

水を汲んでザックが重くなったこともあり、体力が尽きて小休止。

見上げる夫婦岩が大きくなっていた。富良野のスーパーで買った

羊羹ツイストという怪しげな菓子パンを食べて、体力回復を図る。

再び歩きだすと、しばらくで前方が明るくなり傾斜が落ちてきた。

ようやく北尾根の一端へと、登ってきたようだ。午前8時20分。

家族はどんどん先に進み。ハムは次第に遅れがちになってくる。

午前8時20分。芦別岳北尾根に乗ったのかと思われるが、まだ

本当に北尾根と呼べるのかは、自信が無い。とにかく進んで行く。

左には夫婦岩の名の由縁である、二つの岩峰が並んで見えてきた。

彼方には一昨日歩いた十勝連峰も望まれる。山名は同定できない。

如何にもクマが遊んでそうな池もあった。新道には熊の沼という

湿地があるが、この名も無い池の方が、よほどクマが好みそうだ。

南側に三角形のピークが見えてきた。あれが芦別岳本峰なのか。

ガイドブックの写真で見る姿とは、全く違っているし、まだまだ遠い。

西側に見えてきた山の名は知っている。崕(キリギシ)山という。

登山道は正面のピークを巻くと思いきや、九十九に登って行く。

まだまだ先は長いが、ようやく夫婦岩より高い所まで登ってきた。

家族が大きく歪なダケカンバの上に立って、待っていてくれた。

そのダケカンバの上から見る北側の景色。中でも高いピークは、

富良野西岳だ。あと少し登れば、北側の展望も得られるだろう。