摩耶山の麓から

Mt.Maya Without a Map

臥龍山(801m)・・・・・慶尚南道・泗川市・・・2014年12月28日

昨夜は、三千浦(サムチョンポ)市外バスターミナルの近くに泊まった。

今朝はまだ薄暗い内に、タクシーに乗って臥龍洞まで来た。5600W。

実は観光パンフに、このコースは5月中旬まで通行止めとあったので、

違うコースに行こうと思ったのだが、タクシーの運転手に、臥龍山

言ったら、市内から近い臥龍洞に有無を言わせず連れて来られた。

タクシーは谷奥の公園で停車し、そこから細い舗装路を登って行く。

舗装路は青龍寺で終わっていた。早朝なので拝観はせず先に進む。

心配していた、出入禁止のサインはなかった。韓国では自然保護や、

山火事防止を名目に、登山道が長期通行止めになることがよくある。

今まで何度か登山口で、中止や行き先変更を強いられたことがある。

心細げな登山道が、稜線に向かっている。周囲の林相も極めて貧相。

さらに登ると針葉樹から落葉樹に変わるが、相変わらず疎林が続く。

どうやら原因が分かって来た。山全体が岩屑に覆われているようだ。

その上に薄く土砂が載っているのでは、大きな木が育たないはずだ。

大きなガレ場(岩塊流)も現れた。岩は不安定に積み重なっている。

太古には岩山だった山が、風化し岩屑に覆われることになったのか。

振り返れば臥龍洞の谷筋。貯水池の先には三千浦の街や港が見える。

稜線に到着した。左に行けば、主峰のミンジェ峰まで800mだが、

右側200mにキチャバウイ(列車岩)があるという。寄り道しよう。

山頂よりも名前の付いた岩場の方が、展望が良いことが多いからだ。

東側の統営市や巨済島方面が良く見える。昨日登った鶏龍山

山頂岩場も確認できる。空は高曇り、無風だが、陽は差さず寒い。

この岩場で朝食休憩。バスターミナルで買ったキムパブを頂く。

北側の山頂方向を望む。左側の岩峰がセソム峰(801m)で、

右側がミンジェ峰(799m)。その標高差はわずか2mである。

その間も、水平と言って良いくらいの、緩やかな稜線が結ぶ。

キチャバウイを降りてミンジェ峰に向かう。ツツジの藪が続く。

泗川市役所のサイトには、5月にツツジが満開となるとある。

そんな頃に歩いてみたいとは思うが、なかなか難しいだろう。

左手にセソム峰。その先に印象的な三角錐のチョンファン峰。

景色を眺め乍らゆっくり登る。山頂直下は一面のツツジの藪。

ミンジェ峰の頂上は広場になっている。市役所の案内図では、

僅かに高いセソム峰を臥龍山頂上とするが、地図によっては

こちらを臥龍山としているものも多い。少し風が吹いて来た。

360度の展望が得られる。北東に雪を戴いた智異山を望む。

臥龍山はミンジェ峰を中心に、三方向へ主稜線が伸びている。

標高は低いものの、主峰はミンジェ峰だと、個人的には思う。

セソム峰は稜線上の突起にすぎない。だが僅かに標高が高く、

印象的な岩峰なので、こちらを臥龍山頂上としたい、市役所の

気持ちも分から無くはない。何しろ山は重要な観光資源だから。

ツツジの藪に、ススキの混生した緩やかな稜線が続いている。

鞍部らしき場所もないまま、セソム峰の岩場に取付いていた。

此処から北向きに下る道に、出入り禁止の幕か貼ってあった。

もしかすると毎年、閉鎖される登山道は替わるのかもしれない。

山頂へは少しの間だけ、手も使って岩を登る。西の海がキレイ。

セソム峰に到着した。801m・40cmまで記された山名碑に、

どうしても此方を、臥龍山の頂上としたい意思が感じられる。

西側の海に向かう稜線下るのは一瞬。すぐに北側の斜面を下る。

やはりガレた斜面を下るが、少し雰囲気が違う。スラブもある。

チョンファン峰との鞍部まで下って来た。ここは広い草地になって

いて、登山者が三々五々休憩している。これから登る人達もいる。

緩やかな道を南陽洞登山口に下って来た。民宿・食堂・喫茶店

があり、駐車場やトイレもあって、臥龍山の表玄関。エアガンで

靴の汚れを、吹き飛ばす施設。韓国では普通に見かける物だ。

この山は手元の韓国100名山には載っていない。泗川市役所の

ホームページで知った山だ。個性的な山で、変化もあり楽しかった。

市内バスで泗川バスターミナルへ。一旦晋州に出て南海に向かう。