摩耶山の麓から

Mt.Maya Without a Map

新穂高北斜面から三枚岩へ

2月28日の土曜日。今日は晴れるという予報だが、明日は雨降りという。

なら登っておかねばと思うが、相変らず腰は重く、家を出たのは10時半。

今日もケーブル・ロープウェイを乗り継いで掬星台へ、青い空も見えるが、

雲も多くて日は差さず肌寒い。掬星台には昼食の準備をするハイカー達。

奥摩耶ドライブウェイから穂高湖周遊路に入る。この繭は何のものかな。

ウスタビガの繭とは違うようだ。春が近づくと、摩耶山では良く見かける。

清浄なミヤコ笹の繁る穂高湖周遊路を歩き、シェール道に下って行く。

シェール道が林道と別れる手前、20m位の所で生田川源流へ下る。

2月14日に、新穂高山頂から生田川に流れ込む、支沢の右岸を登った。

頂上より、東寄りに登り着いたので、今日は左岸を登ってみようかと思う。

取り付きこそ藪っぽい斜面だが、直ぐに細尾根を直上するようになる。

最初の内は、踏跡らしきもある、治山ダム建設時のものかもしれない。

右岸に比べ左岸は岩が多い。岩稜ではなく大岩が点在しているだけ。

中腹部には笹の急斜面も現れる。くの字型に登った右岸に比べると、

左岸は一直線に、頂上に突き上げるようだ。それはそれで好ましい。

太陽に向かって上っている。つまり此処は新穂高の北斜面である証左。

以前は、こちら側を東斜面だと思っていた。何故そんな勘違いしたのか。

稜線上には大きな岩が転がっている。そのため藪はさほど煩く無い。

振り返れば樹幹越しではあるが、シュール槍の尖がりが見えている。

相変わらず岩が多い。この岩を越えれば、頂上も近いはずである。

岩の上から六甲山方面を望む。東ではなく北を向いているのだろうか。

傾斜が緩やかになり、笹の背丈が高くなれば、新穂高頂上はすぐそこだ。

右岸を登った時には、やや東寄りに着いたが、今回は山頂へドンピシャだ。

生田川の河畔から、僅か30分足らずの登高であったが、登った感はある。

山頂で昼食を摂り、下山は西側へ向かう。この風景が方向感覚を狂わす。

神戸に長く住んでいると、「海は南・山は北」という感覚が染みついている。

だが、今見えている海は、南側の神戸沖ではなくて、西側の明石沖なのだ。

新穂高山頂から西の鞍部へ下り、登り返せば展望岩場がある。この右を

通過して少し下った所で、トラバース路から離れて、右手の尾根を登ると。

すぐに609ピークに到着する。頂部に丸い岩があるが展望は得られない。

三枚岩の頭からは、北側の踏跡を進む。新穂高本峰の西斜面が見えてくる。

此処から見ても、崩れ易そうな脆い岩場である。登るには落石が怖いだろう。

三枚岩を俯瞰する場所へ到着。此処までは、意外に踏跡が明確である。

手前から1ルンゼ。中央バットレス。その向こうに2ルンゼが見えている。

何れも仮称であるが、本物の穂高岳にある屏風岩の呼称に習ってみた。

この三枚岩北陵は、何度か登っているが、下るのはたしか初めてだと思う。

三枚岩1ルンゼ基部に、辿り着きたいと思ったのだが、大分下り過ぎたよう。

もう一度登り返し三枚岩の基部を目指す。やや西寄りに行き過ぎたようで、

2ルンゼ基部に到着。漏斗の口のようなルンゼ。落石からの逃げ場はない。

此処まで来ると、下るよりも登ってしまう方が、掬星台に戻るには早い。

2ルンゼ3ルンゼ間の尾根を登っていく。中央バットレスのリッジを望む。

2012年に一度だけ登ったことがある。三枚岩にしては、岩は固かった。

3ルンゼ上部をトラバースしようかとも思うが、昨日の雨で濡れている。

このまま尾根を登って行く。岩は脆く浮石も多い。ホールドも剥がれる。

最後は藪に突っ込み尾根道に出る。ほとんど三枚岩の頭に近い場所。

尾根道を西へ下り六甲線一九鉄塔に出る。長峰山中腹からの高圧線。

鉄塔から関電巡視路を下る。徳川道沿いの沢の瀬音が聞こえてくる。

照葉樹の葉がキラキラ光り、春の日差しへの移り変わりを感じさせる。

徳川道から掬星台に戻る。午後から空は、だんだん晴れて来た。だが、

明日の予報は降水確率90%。この2月中は天候が安定しなかったな。


(この記事の右岸左岸は上流から見て、なお東西南北は適当なもの。)



今日のBGM