摩耶山の麓から

Mt.Maya Without a Map

達磨山(489m)・・・・・全羅南道・海南郡・・・2014年12月31日

この山への交通が分から無かった。普通は、郡都の海南(ヘナム)から、

市内バスがあるはずなんだが、海南郡のホームページでもガイド本にも

記載はなく、途方に暮れてしまった。地図を改めて見ていると海南よりも、

康津から南下して、莞島に渡る手前の、南倉(ナムチャン)という町が

達磨山に近そうだ。康津発午前6時の莞島行き市外バスで南倉下車。

タクシーに上の案内図を見せて、東麓の「シンピョン」に行きたいと言う。

運転手は確かめもせず発車して、気がついた時には達磨山の西麓

にいた。発音が悪いのか、達磨山に登るなら当然西からと思ったか。

タクシーは迷った挙句に、山脈南端の兜率峰登山口まで来てしまう。

案内図の右上、赤い印の場所である。メーターは。28600Wだが、

10000Wだけ渡す。運転手も異は唱えず、ここからでも大丈夫と、

盛んに言う。地元のタクシーが知らないはずも無く、やや疑心暗鬼。

相当、歩行距離が延びてしまったが、どうにかなるだろう。兜率峰

の登山口は、かなり標高が高いので、その分は楽させてもらえる。

強風の中を歩きだすと、数分で足元に、凄い岩尾根が見えてきた。

前方に見えるのが、岩峰に立つ、兜率庵(トソルアム)。無人だが、

観光名所で訪れる人は多いらしい。標高の高い登山口まで車道が

通じているいるのも、そんな理由。興味はないが一応寄っておこう。

兜率庵から達磨山頂上へは、約4km。それはよいのだが下山後の

交通が分からない。山脈の北端まで行き、南倉の町まで歩くことに

なるだろう。なんとか明るい内に、行き着ければよいのだけど・・・。

案内図では山頂付近は岩が多いが、この付近はそうでもないような

絵になっていたが、想像に反して岩が多い。後に対比の問題である

と知る。空は暗く西風が強い。気温は低くは無いが、時折雪が舞う。

登山口から3kmほどの、トクポン(餅峰かな?)に到着したが、

さして特徴のあるピークではない。天気がどうなるか分から無い

ので、休憩する気も起きず、そのまま通過しよう。午前10時半。

トクポンを過ぎると、細尾根の岩稜となる。これまでより、やや

歩きづらいが、総じてアップダウンが少なく。体力は消耗しない。

前方に険しい岩山。一瞬、山頂かと思うが、そんなはずはない。

この付近の記憶は飛んでいる。こんなロープもあったのだろうか。

全般に難しい所も無いまま、延々と縦走していたような気がする。

この稜線で初めての木製階段が現れた。これだけ岩稜が続くのに、

今まで無かったのが不思議なくらい。それほど高低差がない稜線。

階段の乗越から、南側を見ると、山頂と思われる山塊が見えてきた。

実際の山頂は、更に向こうだったのだが、この時は気づいていない。

これだけ険しい岩尾根なのに、緩やかな稜線というのは初めてだ。

西側には海があるはずだが、茫洋として判然としない。空は暗い。

時折雪が舞うが、なぜか、雨が降るという心配はしていなかった。

今までの行程が、岩尾根ならば、眼前の山頂部をなんと呼ぼう。

巨大な岩塊に圧倒される。さて登山道はどこを進むのだろうか。

登山道は山頂岩塊の手前から、岩場の基部をトラバースして行く。

最初のうちは、樹林の濃い所を歩き展望がない。手前の岩峰から、

鞍部に抜ける所で、樹林から解放された。難しい所は特にはない。

乗越しから次の岩峰を望む。西側に外傾した特徴的な岩塊である。

これが山頂かと思うが、その先にも、一つ高いピークがあるようだ。

二峰間の鞍部に下る。巨岩に埋め尽くされている。このスケールは

とても標高400mの山とは思えない。写真では伝わらないだろうが、

ハムがこの達磨山で、一番気に行った風景というか、場所は此処だ。

崩れそうな巨岩の積み重なり。でも何だかお腹一杯になって来た。

次の岩峰が、西側へハングしていた、ムンバウイだと思うのだが、

背後から見ると尖峰に見える。ムンバウイ=門岩という漢字かな。

登山道は西側を巻いて行く。要所には階段もあり、道は悪く無い。

岩峰の裾を巻き上るのかと思ったら、途中からバンドを斜上する。

こんな所を進んで行けるのだろうか。階段も見えないんだけど・・。

進んでいくと、巨岩の基部に隙間があって、向こうへ抜けられる。

更に進むと谷沿いに、階段道が設置してある。当然、急傾斜だ。

南側にムンバウイを見るようになった。この岩峰の頂上へも道が、

通じているのだが、もう岩場は飽きていたので、寄る気はしない。

階段が切れた後、最後の一登りのロープ。岩のフリクションは良い。

稜線に出て南倉方面の眺望。空は曇りなのに、浅い海は澄んだ青色。

右手の莞島大橋の、東側にあるのが南倉の町だ。あそこまで歩くのか。

これまでと打って変わって、穏やかな山頂稜線。ケルンが見える。

江原道の山にあるような、祭祀壇かとも思ったが、展望台を兼ねた

ケルンのようだ。此処で今日初めて北から来たハイカーと擦れ違う。

達磨山頂上。山名碑は達磨峰と書いてある。山域全体を達磨山

と呼び。沢山ある峰の内、最高所のピークを達磨峰と呼ぶようだ。

此処までの長い道のりを振り返る。主稜線の先には海が見えている。

手前にゴミのように見えているのは、案内登山会のマーキングテープ。

休日には、ソウルや釜山からも、観光バスで登山者が来るのだろう。

これから進む北側の主稜線。まだ幾つかの岩峰を越えて行くようだ。

360度の展望を、ゆっくり楽しみたいのだだが、とても風が強く寒い。

風を避けて座り込み。クッキーを3枚、テルモスのコーヒーで流し込む。

まだ先は長い。早々に下山にかかる。道脇に古い積雪が残っている。

草原状の緩やかな尾根。今までの荒々しい岩尾根に比べ、ホッとする

所だが、いざ踏み込んでみれば、恐ろしく風の強い場所で楽しめない。

頂上方向を振り返ってみる。もう2・3の岩峰を越えて下って来た。

まだ行く先には岩峰が残っているが、山麓を横切る林道も見えてきた。

ただ林道は東西に走っているが、行きたいのは北東方向。どう歩こう。

林道まで下って来た。道標も何もない取りつき。此方から登るのは、

初めてでは、なかなか難しそうだ。ここから南倉までは歩くしかない。

北東に向かう林道を歩いて行く。このまま真直ぐ行きたいのだが、

林道は九十九に曲がり南西に向かって行く。ショートカットしよう

として道に迷ったりで時間が掛る。1時間ほど歩いて農地に下る。

平坦な農地では此の先、道があるのか行き止まりなのか、分り難い。

不案内な場所で、地図も持たずに歩いているのは心細い。なんとか、

明るい内に南倉のバス停に辿り着けた。明日の天気はどうなるかな。