摩耶山の麓から

Mt.Maya Without a Map

白雲山(1218m)・・・・・・全羅南道・光陽市・・・2014年10月18日

昨日、釜山入りして沙上バスターミナルから、市外バスで光陽市へきた。

町村合併で出来た光陽市には、光陽と東光陽の、二つの市街があるが、

我々がやって来た光陽は、意外にも鄙びた所で、宿も数軒しかなかった。

最初に見かけた安宿に、30000Wの言値で泊まり、翌朝6時に宿を出る。

コンビニで昼食を買って、昨夜確かめておいたバス停へ。運行図、時刻表、

料金表が掲示してある。韓国の地方都市では、珍しいほどの充実ぶりだ。

おまけに液晶画面で、バスが近づくと知らせてくれる。目的の21−3は、

後7分でやって来る。ちなみに韓国では、このタイプの表示板は多いが、

肝心の時刻表が無い事がほとんど。表示されるまで、ただ待つしかない。

時刻表どおりに来たバスで、チンドゥルに到着する。こんなに安心して、

韓国の市内バスに乗れたのは久しぶりだ。一緒に下車された皆さんは、

登山でなくキノコ狩りか何かみたい。バス停近くに案内図とトイレがある。

白雲山の案内図。思ったより沢山のコースがあるが、我々がいるのは、

赤い第2コースの起点。山頂に登った後は、黄色い第3コースを下ろう。

バス道から、東に入る車道を登っていく。別荘か保養所なのだろうか、

瀟洒な建物が並んでいる。車道の突き当りにも駐車場とトイレがある。

犬に吠えられながら、畑の脇を登って行くと、涼しげな林間に道は続く。

岩の多い谷沿いの道を登っていく。何気ない風景にも見えるだろうが、

韓国の山に魅かれる最大の理由は、この自然林である。日本ならば、

この標高では、大抵が杉の人工林で、歩くことに楽しさを感じられない。

登るにつれ、黄葉した木がチラホラ。岩塊も段々大きくなってくる。

道標があり道が二分する。右は山頂。左へは神仙台へ向かうようだ。

こういう場合、山頂より名前の付いた場所の方が、景勝地であったり

するので、迷わず神仙台(シンソンデ)経由で、山頂に行くことにする。

それまで緩やかだった道は、分岐から、急な傾斜を登るようになり

展望も得られる。海も見えそうだが、朝靄がかかってハッキリしない。

尾根筋に出ると神仙台まで、600mの標識。だが此処からの登りが、

道標の距離表示より長く感じられた。傾斜がきつかったせいだろうか。

黄葉した木々の間から、神仙台らしきピークが見える。まだ大分ある。

ここで一人のハイカーに抜かれた。まあ我々は普段から歩くのは遅い。

ゆっくり秋の山を楽しみながら登って行く。というより体力不足かな。

特にハムは息が上がって来た。段々と家族に置いて行かれてしまう。

巨岩の下で家族が待っていた。どうやらこの岩場が神仙台のようだ。

左側から、裏へ回り込むような道がついているので、向かってみよう。

はたして登れるのかと思っていたが、裏側には階段が設置されていた。

鉄階段を登りきると、神仙台の頂部へ、急な木製階段が続いていた。

階段を登りきり、最初に目に入ってくるのが、智異山の大パノラマ。

見覚えのある、正面の尖ったピークが、最高峰の天王峰(1915m)。

北に目を移すと、雲海に沈んだ求礼の町。3年前に智異山縦走

の為に訪れた。その時も求礼(クレ)は濃い朝霧に包まれていた。

南西には、多島海国立公園に指定されている、麗水沖の島々を望む。

南側には、白雲山の頂上が指呼の間。雲一つない快晴に恵まれた。

この景色を見ながら、コンビニで買った三角キムパで昼食にしよう。

神仙台の居心地が良すぎて、1時間近く休憩していた。元の分岐に

戻り頂上を目指す。緩やかな稜線を歩いて行けば、ほどなく頂上へ。

頂上は、それ自体が露出した岩場。傾斜は緩くて、何処でも歩ける。

手元のガイドブックに載っていたのは、このアングルの写真1枚だけ

てっきり樹林の山かと思っていたが。岩場が多くて、眺望も楽しめた。

漢字で書かれた山名碑。その向こうに神仙台。求礼の町の霧も晴れた。

まだ午前10時半なのだが、麓の食堂で、昼食に名物のタップルコギを、

食べたいので下山することにしよう。ちょうど良い時刻に下れるだろう。

頂上からは、しばらく主稜線を南に進み、龍門寺からの登山路を下る。

1時間ばかりで、新しく立派な寺院に下り着くと、ここまで車道が

登って来ていた。この寺は龍門寺ではなく、その庵のようである。

庵からは、コンクリート敷きの車道を下ったが、これが長く辛かった。

時間にすると1時間程だが、歩き難く嫌になった頃にバス道に到着。

龍門寺前のバス停にも、時刻表が張ってある。さて付近には食堂が、

見当たらない。東谷里に下って行けばあるはずなので、歩いて行こう。