摩耶山の麓から

Mt.Maya Without a Map

錦山(706m)・・・・・・慶尚南道・南海郡・・・2014年10月19日

昨夜は、南海(ナムヘ)バスターミナルの階上にある、宿に泊まった。

同じビル内には、広いスーパーがあるし、部屋も小奇麗で良かった。

今朝は余裕で、6時半の始発バスに乗ろうと、チケット売り場へ行く。

だが始発は錦山登山口に行かないと言われる。次の7時25分の

バスは行くらしい。諦めかけていたら、同じバスに乗るアジョシが、

助けてくれた。別の登山口だが、少し歩けば始発でも行けるらしい。

トゥモ村入口で下車する。バスは幹線道路を外れトゥモ村に向う。

バスは音声案内もなく、同乗したアジョシも下車場所を運転手に、

聞いていた。我々2人だけでは来れなかっただろうと思う。感謝。

神戸に旅行に来たこともあるというアジョシと、片言の日本語と

韓国語で話ながら歩いていくと、10分足らずでトゥモ登山口に

到着した。駐車場とトイレ、案内板があるだけの静かな登山口。

此処でアジョシと別れた。我々は軽い朝食を食べたり、地図を

確かめたり。手元のガイドブックに、この道は記されていない。

新しく整備されたのだろう。右手の道が本来のメインコースだ。

まだ日が上りきっていないせいもあって、最初の内は暗い樹林。

古い道と新しい道が、交互にあらわれる。以前からあった道を、

国立公園として最近に整備したようだ。谷沿いに緩い道が続く。

登るにつれ明るくなり、また岩も多くなってくる。樹林越しに

大きな岩場が見えたりもするが、展望はなかなか開けない。

登り始めてから1時間半で、やっと期待通りの大展望の岩場。

閑麗海上国立公園に指定される、美しい多島海を一望できる。

此の先の道はと見上げると、何処を登るんだというような岩場。

よく見れば、階段もあるので大丈夫だろう。一休みして出発だ。

急な岩場を登っていくが、道は九十九についており、要所には

階段や手擦りがあって、難しい場所はない。途中から見上げる

山上は緩やかなよう。岩穴を潜るような箇所もあり、楽しく登る。

プソアムという表示を見て寄り道したら、岩(アム)ではなくて、

庵(アム)であった。庵の敷地から上方を見ると、鉄橋がある。

もと来たの登山道に戻って、岩場を回り込むと鉄橋に行き着いた。

岩峰を結ぶ鉄橋。10メートル足らずだが、この橋がなければ、

深い谷に降り、また登り返さなくてはならない。いや下るのも

難しい。キレットの日陰は冷えるのだろう、紅葉が進んでいる。

鉄橋を渡ったところから振り返ると、プソアムの全景が見える。

ここからは庵の人が歩く為か、今までより格段に道が良くなる。

緩やかな道を歩いていくと、山上の一角にあるヘリ機場に到着。

山上は平坦で、捉え処がない。道標では頂上はすぐそこだが、

急がなくてもよいだろう。道標に何とか岩とか書いてあるので、

進んでみると、大きな寺院の伽藍が見えてきた。行ってみよう。

菩提庵という寺院。庵(アム)と呼ばれるのは、その名の通り、

小さな草堂であることが多いが、菩提庵はとても立派な伽藍。

寺務所と、お坊さんの居住区は、急斜面のビルディングで、

チベットラマ教寺院のような建物だ。なかなか壮観である。

菩薩像の前で祈る人もいるが、その数は少ない。この寺へは、

北斜面に車道が通じて、駐車場から20分も歩けば到着する。

そのため信者より、観光客で賑っている。やや落ち着かない。

西方を見ると、展望の良さそうな岩場がある。元の道を戻り

ヘリポートから南へ下れば行けそうだ。昼食休憩しに行こう。

錦山の山上は平坦で、畑もあったりする。お寺のものだろう。

山上に上がってから、よく人に道を聞かれるのはなぜだろう。

既に3回ぐらい聞かれた。もちろん充分には答えられない・・・。

お寺から見えた岩場までやってきた。険しい山頂方向を望む。

山頂の向こう側には、駐車場があり車道が通じているのだが、

此処から見る限り、人工的なものは菩提庵と鉄塔ぐらいだけ。

南西の方向には、丸い岩尾根が続く。此処に座り昼食にする。

このサンサ岩に来る途中、大学生らしき二人に道を聞かれた。

実は1時間ほど前に、ヘリポートでも道を聞きいてきた子達だ。

同じ日本人だと分かって、苦笑していた。尚州(サンチュ)へ、

下りたいが分からないらしい。原因はこの案内図。我々が

登って来たのは下側のツゥモ。だがサンチュの地名はない。

喋れないので、ガイド本のコピーを渡したが、大丈夫かな。

サンサ岩からまたヘリポートへまた戻り、山頂にやってきた。

烽火台風の展望所は大混雑で、ゆっくり景色も楽しめない。

多くの人が、次から次へと記念撮影している、一瞬のスキに

山名碑の写真を撮る。さて腰かける場所も展望も無いので、

もう下山しよう。山上駐車場に向かう道から、菩提庵へ下る。

確かに、菩提庵(ポリアム)から、尚州登山口への下山路は、

とても分かり難い。おまけに通行止めになっている道もあって、

混乱に輪かけている。山上で道を聞かれたのも、この為かな。

下って行くと将軍岩があって、道はその下の洞窟の中を通る。

見上げるとかなり大きな岩場。この下を潜れるとは思えない。

後でこの付近が、太祖李成桂が百日祈祷をして、朝鮮王朝を

開いた所と聞くが、何も知らずに通過してしまって気づかない。

此の道が、錦山のメインコース。敷石の階段道で道幅も広い。

単調に一直線に下って行く。此方の登山口は標高が高いので、

所要時間も短いよう。まだ正午なので登ってくる人も大勢いる。

登山口に下って来た。普通に錦山登山口というと此処のことで、

今朝来る予定だった所。国立公園の案内所や、食堂等もある。

バス停の標識も無いので聞くと、その辺りに停まると言われる。

少々不安ながら、入口近くでバスを待っていたら、下山してきた

アジョシが車を寄せてきて、「何処へ行く。乗らないか。」という。

釜山から来られた人で、結局、沙上駅前まで乗せて頂くことに。

外国人とは思わずに、誘って頂いたのだが、日本に医療機器を

売っている会社員で、日本語もそこそこ話されるアジョシだった。

行きも帰りも、親切なアジョシにお世話になった一日。感謝です。