摩耶山の麓から

Mt.Maya Without a Map

加里旺山(1561m)・・・・・・江原道・旌善郡・・・2014年9月28日

この日は、朝7時前に宿を出て、五日市場前のバス停へ向かった。

いつものように、バス停近くのコンビニで、三角キムパブを4つ買う。

昨日、観光案内所で教えて頂いた通り、7時20分過ぎバスが来た。

バスは市内を一巡して、加里王山に向かう。乗客は我々2人だけだ。

終点は、国立加里王山休養林の前。日本でいうと自然の家という処。

キャンプ場やコテージ等があるが、通過するだけでも入場料が要る。

それが嫌なので入場せずに、手前から伸びる登山道を登って行こう。

今日もガスが濃い。朝霧だと良いのだが、どうかな蒸し暑くさえある。

途中、橋の上で三角キムパブ各1個と、ミニ薬果の朝食を済ませる。

寂しい所のようだが、今日は日曜。昨夜付近のペンションに宿泊客が

幾組も朝の散歩をしている。それにしても、何とも素っ気ない登山口。

まあ韓国の場合、登山口に何の案内もなくて、途中にあることも多い。

この山は岩山ではない。おそらくは山頂直下まで樹林が続くだろう。

展望も期待できず、ひたすら高度を稼ぐのみ。足元の野草が慰めか。

最初の内は、斜面を九十九に上っていく。道は良いが道標はない。

1時間半ほど登った所に平地があった。此処で一休みすることに。

此処で下って来るハイカーとすれ違う。何時から登られたんだろう。

昨日、五日市場(オイルジャン)で買ったカムジャトッ(じゃが芋餅)。

韓国らしく、ほのかな甘みのお菓子。ほっとする優しい美味しさだ。

休憩した場所から、10分足らず登ると、中腹を走る林道に出た。

岩山の多い韓国では、この山が穏やかな山容であることの証拠。

林道脇に案内図があった。どうして登山口に無いのだろうか。

此処までのコースタイムは1時間20分。我々は20分ほどの

タイムオーバーだが、実力からすれば、正当な案内図だろう。

林道を横断して、またすぐに樹林の道をひたすら登っていく。

韓国の山が良いのは、自然林だということ。日本の山ならば、

暗い杉の植林帯を上る事になる。紅葉したモミジもチラホラと。

チュンポン(中峰)と書かれた標識に到達。今日初めて見る道標。

頂上はサンポン(上峰)らしく、反対方向にはハポン(下峰)がある。

中峰から頂上までの道が良かった。水平かと思うほどの緩やかさ。

それでいて山の大きさを感じる。周囲の木々は紅葉を始めている。

この平たい緩やかな主稜線の道は、我々の足で40分も続いた。

ようやく周囲の木々の背が低くなり見通しが効く。前に見える

円頂には電波塔らしきが見えているので、あそこが頂上だろう。

案内登山会のバスで、やって来たらしい10名程とすれ違った。

日曜日なので人出も多いと思ったが、山中で出会った団体は、

この人達だけだった。その他には個人客ばかり。静かな山だ。

加里旺山の頂上に到着。ガイドブックには、「加里王山」という

漢字がふってあったが、山名碑は「旺」の文字が使われている。

山頂の一角にある平たい岩の上で昼食にする。登って来る人も、

パラパラと。我々と一人を除いては、休養林から登って来られた。

薄いガスがかかっていて、残念だが、視界は1キロ程しかない。

だが静かな山頂は、それなりの風格があり、好ましい雰囲気だ。

ゆっくりしていたが、そろそろ下ろう。東の尾根筋を下って行く。

こちらがメインコースのはずなのに、道はそれほど広くはない。

ただし木々の紅葉は、登って来たコースよりも進んでいるかも。

家族が思わず「キレイな道」と呼んだ所。まだ緩やかな道が続く。

韓国らしい岩山でも無く、見所もある訳でもないのだが、何となく、

山容の大きさを感じられる山で、登った充実感がある山だったな。

主稜線の三叉路から、南側に下って行く。この道が現在工事中。

日曜日だというのに、作業員の方達が鉄筋やコンクリ用の水を

持って登って来られた。支柱沿いにロープを張りめぐらすようだ。

此方側も、中腹を林道が横切る。此処に飯場が設けられていた。

林道より下側は、登山道の整備工事は終わっていて、道も良くて

割と楽に下れたように思う。ただ樹林の単調な下りには違いない。

やはり路傍の草花が楽しみだ。サルナシの実を探すが見つからない。

コテージの並ぶ休養林に下って来た。なんだか小バエが沢山いる。

時間はあるが早々に退散しよう。バス停に着いたのは午後3時半。

一時間以上待って、4時50分のバスに乗る。ところで、始発便は

7時20分と案内所で教えてもらった。街中のバス停の時刻表に、

6時20分の便もあって疑問だったが、どうやら無くなったようだ。

帰りのバスも乗客は、外国人である我々二人だけだ。なるほど、

減便されるはずだ。次に来た時にも、此のバスはあるのだろうか。