摩耶山の麓から

Mt.Maya Without a Map

義湘峰(牛頭山・1046m)・・・・・・慶尚南道・居昌郡・・・2013年10月13日

この日は早朝に、居昌のバスターミナルから、大邱行きの市外バスに乗り、

加祚で途中下車。市内バスもあるんだろうが、バス停もダイヤも分からない。

市外バスなら、バスターミナルで切符を買って、停車しているバスに乗れる。

加祚は鄙びた町で、バスターミナルは無くて、商店の前のバス停で下車する。

少し歩けば、北側に立派な岩山が見える。あれが目指す義湘峰かと思ったが、

同じ牛頭山系の将軍峰というピークであった。タクシーを捕まえて乗り込んだ。

義湘峰の中腹にある登山者用の駐車場までタクシーで入る。5700Wの支払い。

見上げると岩峰が見える。バリ峰という支峰だろうか。この山は居昌郡のサイトで、

紹介されていたのを見て登りたくなっただけで、地図もガイド本も持ってはいない。

駐車場の案内板の地図で登る道を確認する。下側の赤い文字が現在地とある。

古見寺を経由するメインコースを登って行けば、義湘峰(ウィサンポン)を経由し、

主峰の牛頭山(ウドゥサン)に達するようだ。後はどうにかなるだろうと歩き出す。

すぐに大きな滑滝を乗り越す。ところで、この山の名称だが、どうやら山域全体を、

牛頭山と呼ぶようで、義湘峰はその中の一峰であるよう。ただ、最も有名な為に、

道路標識などは、義湘峰と表示されている。タクシーも「ウィサンポン」へと頼んだ。

古見寺(コギョンサ)へは石積みの良い道が続いている。左手には物資を運ぶ為の

モノレールの軌道が古見寺まで続いていた。さて、既に寺域に入っているはずだが、

どうやら売票所はないようだ。谷間なので展望の無い道を、ただ淡々と歩いて行く。

古見寺(コギョンサ)は建物こそ新しいが、新羅時代の石積みが、とても良い雰囲気。

清浄な境内が素晴らしい。伽藍の背後に少しだけ頭を覗かせているのが、義湘峰か。

古見寺からの登山道は、大垂壁の下を登って行く。高さは数十メートルもあろうか。

道は相変わらず石の多い普通の谷間の道。岩壁に遮られ陽の光が届かず薄暗い。

谷間には高さ3メートル仏像が鎮座。この辺りまでは拝観くる人がいるのだろう。

仏像からひと登りで主稜線の峠状に着いた。東側は巨大な義湘峰の岩が遮っている。

なぜか此処に牛頭山の山名碑が立つ。義湘峰へは、岩の北側を巻いて300米とある。

西側へは将軍峰への縦走路があるようだ、見ると小さな岩峰があるので行ってみよう。

最初は登れなさそうに見えたが、裾を巻き裏側に回り込むと、容易に岩の上に出た。

岩峰の上は小広いテーブル状で、素晴らしい景色だ。峠で待っていた家族も呼んで、

休憩することにした。西側の岩山は将軍峰であろう。空には雲一つない快晴である。

少し南西に目を転じ、遠くに最も高く見えているのが智異山(1915m)に違いない。

先ほど登って来た谷間から、団体登山者らしき大きな声が聞こえてくる。岩壁に

響いてとてもよく聞こえる。此処でもう少しゆっくりして、あの人達をやり過ごそう。

東側は義湘峰の大岩壁。はたして山頂へ登る道はあるのだろうか。左側の奥に、

山系の最高峰である牛頭山が見えている。まあ、しばらくはこの景色を楽しもう。

北側に特徴的な山が見えている。登ったことのある伽耶山(1433m)に違いない。

大パノラマを楽しんでいると、義湘峰の頂上に人影が現れた。道はあるようだ。

まだ去りがたい気分だったが、先はあるので、岩場を下り元の峠へと向かった。

峠からは義湘峰の北側へ少し下り、東側に回り込むと、そこには立派な木製階段。

ほぼ山頂まで木製階段が続いていた。登れるのかと心配していたが、あっけない。

義湘峰の山頂。意外に広く木もあって、一か所で360度の展望とはいかないが。

少し歩き回れば、四囲の大展望を得られる。団体客をやり過ごして静かな山頂。

西側に将軍峰。右下に見える白い岩場が、先ほどまでいた所。案内図にも無いが、

最高の展望所だった。なにしろ義湘峰の大岩壁を仰ぎ見るのだから。遠く左手には、

黄石山から金猿山の連嶺。右手には箕白山から徳裕山への稜線が重なって見える。

下りはもちろん同じ階段を降りて行く。爽快ではあるがあっという間に肩まで下る。

肩からは牛頭山への登り返し。途中の岩場から、義湘峰に設置された階段が一望。

牛頭山は主峰でありながら、平凡な山頂。標高も義湘峰より10米程高いに過ぎない。

樹林に囲まれ北側こそ抜けているが、南側は山頂脇の岩場に登ってようやく見える。

牛頭山頂からは樹幹越しに義湘峰を眺めつつ下って行く。路傍の岩に登っての眺望。

途中の休みを長くとり過ぎて時間も遅い、元の駐車場へ最も近いコースで下って来た。

朝の静けさとは様変わりし、駐車場は満車。名産のリンゴを売っている人が多かった。

リンゴを数個欲しいと韓国語で言えず、ザル一杯買う羽目に。15個入って5000W也。

リンゴを齧りながら、朝にタクシーで来た道を下って行く。加祚からのバスのダイヤも

知らないが、どうにかなるだろう。振り返ると義湘峰は山系の一隅に小さく見えていた。