六甲山上にあるレストランの食事券を貰った。あえて土曜日に行こう
と思ったのは、何度か前を通ったが、客が入っているのを見たことが
無かったから。平日にポツンと無料客だけというのも気まずいだろう。
天望山へ長く行っていない。ドライブウェイ新道の関電巡視路入口が
落石防止フェンスで覆われたと聞く。下って来て出られず、この辺り
まで降りて来たと言う記事を読んだような。それも一年以上も前の話。
という訳でワープする。(良い人は真似しないで下さい)巡視路が閉
鎖されてから2年以上も経っているので、此方側にハイカーの踏跡や
関電の巡視路が出来ているのでは、という甘い期待も若干持っていた。
トンネルを抜けた所で西へ斜上すると新道脇に出る。長峰大好きさん
が何度も踏査されたインスタは拝見しているが、それも一年近く前で
記憶は曖昧となっている。まあ何とかなるだろうというのが失敗の素。
新道脇の斜面にトラロープが下がっていた。一段上がると北東に直進
するマーキングテープと、西へ斜上するテープがあるよう。いずれも
山仕事用の粘着性のないピンクテープ。ハイカーが付けた物ではない。
そこで西へ向かうテープを追って行く。落石防止のフェンスに沿って
急峻な斜面を上がるが、どうにも良くない。テープは続くので一定の
通行は有るだろうが踏跡とは言えない。岩場の下のトラバース部分で
先行していた家族が戻って来た。写真で見ると何でもなさそうだけど、
傾斜があり足元が定まらない。「へつり」が不得意な家族にとっては
難易度が高かったよう。灌木にシュリンゲをセットして通過して貰う。
現状で不安定な岩は除去されている感じだったが、岩に番号が符って
あるのは、個別に状態を経過観察されているのではないかと思われる。
その為定期的に通行されるのだろう。我々が入るべき所ではなかった。
更に斜上していくと巡視路に飛び出た。一番低い位置の送電鉄塔手前。
やはり最近は歩かれていないようだ。関西電力は水車新田にある水道
施設から天望山を越えて来る道を、今後は保守に利用するのだろうか。
大正13年建設の篠原線一〇鉄塔。この辺りで東側から新しい巡視路
が出来ているんじゃないかと探すが無かった。以降も注意していたが
それらしきは見当たらない。すぐ上方には二番目の鉄塔が見えている。
昭和30年建設の神戸東線二九鉄塔。鉄塔周囲は木々が繁っているが
西側に僅かに展望が抜けて、長峰山東南面の険しい様子が観察できる。
足元に見える新道が尾根を回り込む辺りから、天望山に登る道もある。
少し上ると最近の崩落現場と思われる所があった。同じく岩に番号が
符ってある。今は安定しているが、豪雨で土砂が流されれば、転がり
落ちても不思議でない。新旧ドライブウェイの真上と思うと恐ろしい。
続いて神戸港線五鉄塔。天望山の頂上に立つ六甲線八鉄塔がすぐそこ。
この尾根はムベの実が多く生る所で、今日も落ちているのをいくつか
見掛ける。採集の為に登って来る人もいたけど、今も来られてるかな。
頂上は数年前に関電が伐採したが、また繁り始め展望は東側のみ良い。
見えているのは油コブシだろうが、右側の鉄塔のある低い山が坊主山
か。一時期良く歩いた山域だったが、今はもう興味を失ってしまった。
天望山はもう来ないかな。岩場に取りついてグイグイと高度を稼いで
行く尾根道が魅力だったけど、山頂はそれほど訪れたい場所ではない。
水車新田から登るのも迂遠に過ぎる。それに新道に入るのは避けたい。
天望山の頂上から少し北側に向かうと、右手の鞍部に下る踏跡が有る。
記憶ではもっと細かったように思うが、良く踏まれて広くなっている。
鞍部から六甲ケーブル山上駅へ至る尾根道も、以前より歩き易いかも。
急な尾根を辿りアイスロードとの分岐へ来れば、後は笹原の緩やかな
道のはず。この尾根に幾つかある電話と刻印された石柱。写真を見て
気付いたが裏に24と刻印されている。電話線が埋設されてるのかも。
背の低いミヤコ笹の小道を、気持ち良く歩くつもりで来たが、何だか
背の高い笹が多くなっている。ネザサが増殖してミヤコ笹が駆逐され
つつあるのではと勝手に思い込む。真意はともかく魅力は減じている。
六甲ケーブル山上駅の下まで来た。西側には長峰山、摩耶山、別山が
行儀よく並んでいる。それぞれの標高差が如実に分かる景色が珍しい。
此処から山上道路に出るまでが、足元が切れているし草深く危ない所。
六甲ケーブル山上駅は意外に賑わっていた。写真では数名に見えるが、
発車待ちのバス車内は超満員だし、背後には30名ばかりのバス待ち
の列が有る。天覧台のレストハウスに客が溢れているのは初めて見た。
大きな考え違いをしていたかも知れない。六甲ミーツアートとかいう
イベントが開催されているらしい。ハイカーの姿よりも観光客の姿を
沢山見掛ける。ケーブル山上駅からレストランまで3kmの車道歩き。
レストランは満席なので名を聞かれ、30分後に来てくれと言われる。
歩道は人が溢れている。展望の良いフードテラスも大勢の人。とても
一か所にじっとしていられない。コロナの影響なんて微塵もないよう。
いや土産物店で行列ができているのは、コロナ対策で入場制限がある
のかな。我々を含めハイカーの姿もチラホラ見るが、完全に場違いで
居場所が無くてウロウロされている。この付近は他に休憩場所もない。
店に戻っても更に待って、着席できたのは都合1時間後。食事は勿論
美味しく頂きました。六甲山上のレストランに入るなんて初めての事。
体験としても面白かったかも。何より悪かった家族の機嫌が直って吉。
帰りは天狗岩南尾根を下る。いつ来ても天狗岩は展望が広くて良い所。
休んでいると少し寒く感じる。色づいた樹もあり、今年の紅葉は例年
より早いかもしれない。霞んでいるようでも大峰の山影が見えていた。